masahirorの気まま記録簿

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祝!東九州道「北九州~宮崎」全通発表とみかん園の話

待ちに待った、東九州自動車道「北九州~宮崎」区間が、来る4月に全通するとのニュース。

 西日本高速道路は15日、北九州と鹿児島をつなぐ東九州自動車道のうち、福岡県内の椎田南―豊前(約7・2キロ)を4月24日に開通させる方針を固めた。これにより、北九州から大分を経て宮崎までが高速道路で結ばれる。  東九州道は総延長436キロ(九州自動車道、大分自動車道との重複区間除く)。高速道路会社による有料道路方式と、国と地元自治体が費用を負担し、通行無料の新直轄方式で建設されてきた。  開通により、北九州―大分は現在に比べ約10分短い約1時間45分でつながる。北九州―宮崎は約4時間20分で結ばれる。

東九州道、4月24日開通へ 北九州―宮崎間が直結 - 共同通信 47NEWS

いやー本当に待った。個人的にも長いこと全通を待ち望んでただけに、この開通はめちゃくちゃ嬉しい。
思えば過去、2006年に自分のブログで「いつ開通するか」一覧など作り、当時はまだ10年以上先かぁと絶望した記憶がある。
masahiror.hatenadiary.jp
それから10年が経ち、前倒しに前倒しで完成したことは嬉しい。と同時に、時の流れの早さを感じるなぁ・・・




それはそうと、今回開通する区間「椎田南~豊前」は、「北九州~宮崎」間に於いて一番最後に開通することとなったが、それには建設予定地にあるみかん園の持ち主が頑なに譲らなかった結果であるのは、東九州道を待ちわびる主に北九州・大分・宮崎の「道路好きな方々」には、かなり前から有名な話。立ち退かないためいよいよ強制収用されることとなり、これがニュースになったことで、全国的にこの問題が有名になった。

www.asahi.com

東九州自動車道の建設を巡り、福岡県豊前市のミカン園で続く同県の行政代執行による強制収用で17日、倉庫の上に設けたやぐらに立てこもっていた、ミカン園主の岡本栄一さん(69)を県は強制的に排除した。  農業用倉庫と土地(約0・2ヘクタール)の明け渡しを拒む岡本さんは、この日もやぐらから拡声機で県の対応を批判。県側は高所作業車を横付けして説得を続けていたが、岡本さんが応じなかったため職員らがやぐらに上がり、午前11時過ぎに岡本さんを抱え出した。  強制収用に着手した15日以降、県は倉庫内の機材の搬出を進めた。倉庫の解体が残っているが、岡本さんが自主的にやぐらから下りるよう説得を続けていた。  東九州道は北九州市―宮崎市の約320キロのうち、ミカン園がある7・2キロだけが未開通。7月にミカン畑約1・4ヘクタールを強制収用した後も、岡本さんが残りの部分の明け渡しに応じていなかった。西日本高速は来春の開通をめざして建設作業を急ぐ方針。(小浦雅和)

ミカン園主を排除、東九州道の強制収用 福岡・豊前:朝日新聞デジタル

これに関してネットでは否定的な意見や記事を散見したが。
news.livedoor.com

道路建設に反対する地権者はみかん園の経営者。彼は代替案を出していて、「山裾ルートにすれば建設費は半分以下で済む」と独自の試算結果を明らかにしていた。しかしその主張は認められず、2015年7月14日に一部の畑が強制収用された。

みかん農園を排除 東九州自動車道の必要性にドライバーの賛否分かれる - ライブドアニュース

そりゃこのニュースをいきなり知れば「これはひどい」「国は横柄だ」なんて意見をもつのも分からないでもない。けれど、長年この問題を追ってて開通を熱望していた地元の人間からしてみれば「いやいやいや、この農園のおじさんのおかげで、どれだけ開通が延びたことか」って意見しかない。
その内容をちょっと掘り下げてみる。

まず土地が収用されることに関して

これに関しては、なんとも言えない。いざ自分の生業をやっている土地が収用されるので渡してくれなんて言われたら、そりゃ反対すると思う。
しかし、地域発展など考えれば・・・と思っても、やっぱ自分なら納得いかないだろうな。もちろん今回の件は、公団から土地の買い取りに関する費用や、一部買い取りによって壊されるものの補填の提示はもちろんあったようで、移転することによる損失や調査費用などそれらも含めて補填してくれるのであれば、自分であれば最終的には立ち退くと思う。

ともあれ、立ち退きを余儀なくされる点に置いてはみかん農園の方に同情する。
ただ、それを反対するアプローチに関しては、都合のいい理由を上げて国を批判しているようにしか思えず、その行動に関して疑問を持っている。

立ち退きの猶予期限について

全国ニュースでいきなり強制収用のニュースが出てきており、少し調べるとその数カ月前に裁判所で強制収用を決定するニュースがででたので、それを見た初めて人からすれば「立ち退き命令」から「強制収容」までの期限が短く酷いと思った人もいるかもしれない。
しかしこの件は、東九州道が現在のルートで整備計画に入った「16年前から」持ち主の方に立ち退き命令が出ている。
matome.naver.jp
なので、ここ2~3年で立ち退き命令が出てすぐ立ち退け、という話ではない。
16年もあれば、質の高い立ち退きの反対活動を続けることもできるけど(現に行ってた)、もし本当に立ち退くことになればどうすればいいか・どういう生計を立てるか、という検討も十分にできたのではないか。

代替ルート案について

この代替ルートが一番の問題。
ミカン農園の方は、自分のみかん園を通ること無く、かつ建築費用を現状のルートでの金額より抑える代替案「山裾ルート」を作成。
それを国に提出したが見向きもされなかったと怒っている。
この点もニュースで取り上げられ「民間の方がより良いルートを考えたのに、国は利権だなんだで検討しようともしない。所詮お役所仕事。」という意見をみたが、代替ルート案を掘り下げてみる。
ミカン農園の主張を一番取り上げられてるのはこのページかな。
blog.goo.ne.jp

金額の話

東九州自動車道の椎田南-宇佐間の28キロは現在1030億円の総工費だが、「山裾ルート」であれば460億円に削減出来る。

これには2つの問題があって「完成2車線」と「ルートそのもの」である。
まず「完成2車線」。最近の高速道路の建築では、片側2車線の道路をいきなり作ると開通まで非常に時間が掛かり、交通量の少ない割にいきなり4車線を作るのは金額的にも非常にかかるという点で、まずは片側1車線の道路で繋ぎ(暫定2車線)、交通量の多いところから片側2車線に広げるという手法をとっている。とはいえ、暫定2車線を完成する前に4車線分の用地収用は終わらせている。
東九州道はどうか。確かに交通量は九州の大動脈「九州道」には及ばないだろう。4車線道路の宮崎道よりは多いだろうけど・・・


しかし、この区間と接続する直前の位置まで、1993年に開通した「椎田道路」という有料道路が通っていた*1
また、この区間と併設する一般道「国道10号線」は早くから片側2車線化工事が行われており、今ではここから大分までほとんどの区間で2車線になっている。
つまり、これらの事が行われているということは、元々この区間の「交通量が多い」という事実を表している。
東九州道は北九州~宮崎が全通して初めて本領を発揮する。この区間を完成2車線で作ってしまえば、すぐに渋滞のメッカとなり片側1車線では全然さばけなくなるのが目に見えている。
現に、今回の区間の直前の降り口である「椎田南IC」は、GWやお盆に大渋滞になったようだ。


「完成2車線」と「暫定2車線(完成4車線)」を比較したら、工事費が約半分になるのは当然のことである。
そしてこの区間は、上記の理由から「完成2車線」では足りないのだ。
そこにまずこの案の無理がある。

ルートの話

これまで、山裾ルートの詳細はネットに一切掲載がなく(一部が写った地図の写真程度)、朝日新聞がルートを載せていた。
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現在の予定ルートは、開通している椎田南IC(先に開通していた椎田道路終点)から昨年開通した宇佐IC(以前から開通している宇佐別府道路の始点)まで、ほぼ直前で結んであり理想的な形である。
集落も少なく、平地のため工事しやすいがゆえ実現できたルートだと思う。

しかし、山裾ルート案は、大きく曲がっている上いかにも「自分の農園を避けました!」的なルートで、それ以外に立ち退く集落の人からすれば共感は得られない。
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※青丸がミカン農園の位置
山裾では山の麓付近を通るので、本格的に事業化して工事費用を計算するとミカン農園が想定する費用では足りないのではないだろうか。

「地図が趣味。時間があれば等高線を眺めて、地形を想像するのが楽しい。今の農園は、中学・高校の頃に自転車で駆け回って身体が地形を覚えているんです」

 岡本さんの家には、所狭しと道路設計や工法、積算の専門書や雑誌が並んでいる。高架橋、トンネル、舗装,用地…と次々と「東九州自動車道・山裾ルート」を図面化し、費用をはじきだしていく。わずか1年で、岡本さんは「山裾ルートなら半額以下で道路が出来る」という結論にたどりつき、国土交通省の道路事務所に提案をした。

仮にも国が専門家を交え作った今のルート。
専門家を交えず「地図が趣味」ってだけで独自に算出したルート案を、国がはいそれと受け取ってそのルートの妥当性の検証をするなんて、普通しますかね。
それだけのことをすれば、もちろん委員会などを立ち上げそれに伴う設営費・人件費、調査のため専門家を交えてや土木工事など、何百万かかることは目に見える。長年かけて一度行って決まったことをまた何百万も税金かけてやってくれとミカン農園は本気で主張する気なんですかね。


短縮時間がわずか10分

このニュースがでた時に「そんなに揉めてるのだったら、そこ通すのやめれば」「短縮されるのは10分だけなんでしょ」って意見に対して。
まず前者に関しては、それが成り立てばみんながみんな拒否して国の道路事業は何も成り立たなくなるでしょうね。最近では発展途上国が発展できない理由として、国の力が及ばず立ち退かないので幹線道路や高速鉄道が引けないといった話がありましたね。

また、後者に関して。
私もこの区間以外が開通した時に実際に「宮崎~北九州」を走ってみました。片側1車線がほとんどなものの、追い越し車線が適度にあるので快適に走ることができました。ただ、やっぱり「高速を途中で降りてまた乗る」という行為は高速運転では結構ストレスが溜まるもの。降りて速度を落とすのもそうだし、信号や交差点で何度も止まらないといけない。目的地付近で降りた後の下道であれば、あとは目的地まで近いという嬉しさもあっていいのだが、まだ途中区間であるしそこからまた高速に乗るって考えると、気持ちの切り替わりが結構負担になる。

わずか10分・・・例えばこう考えてみたらどうだろう。
東京から大阪まで新幹線で行くとする。しかし名古屋駅で東海道新幹線は分断されており、東京から乗った人は一旦名古屋駅で降りないといけない。そこから、新名古屋駅(仮)まで各駅電車で10分移動が必要で、新名古屋駅から大阪行きの新幹線に再度乗り換える。
こんなのに遭遇したら、面倒くさくない?

まとめ

私は、よくネットの意見としてある「長引かして補填金をいっぱい貰いたいだけでしょ」に対しては、ミカン農園の方がおっしゃってる「お金のためではない」というのだけは本当にそうだと思っています。
ただ、実現性の低い持論を展開して16年も拒否をし、国も上記のような考えから総合的に見て拒否してるのに譲らず、最後まで公益性を取らなかったのだけは残念に思います。
今でもブログであーだこーだ言ってるみたいですがね。
先日は通報されたみたいで。。。(それに関しても、同じように緊急脱出でNexcoの工事の人がやってたら、「わざとだ」とかいって喜んで訴えそうだと思った)



「工事費が浮くから」という山裾案を頑なに譲りませんでしたが、あなたが1年でも早く譲って開通が1年以上早ければ、得られた経済効果はどれくらいあったのでしょうかねとは思います。

*1:北九州方面が東九州道が接続されたことで、東九州道の一部となった